秋の味覚のひとつ、さつまいも(薩摩芋)は別名甘藷(かんしょ)とも呼ばれますが、日本渡来の経緯を考えると唐芋(からいも)、又は琉球芋が正しいのだ、という説があります。
食物繊維・ビタミンC・カリウムが豊富で血圧を下げる働きがあります。

NHK放送文化研究所が2008年に行った世論調査によると、16〜29歳の女性の好きな野菜No.1がさつまいもだったそうです。
女性のほかの年齢層や男性のBest10ランキングにはさつまいもは出てきません。不思議ですねぇ。

今回の噺は『芋俵』。ふたりの盗っ人が戸締まり厳重な大店へ盗みに入る知恵を絞ったある方法。仲間の与太郎を芋俵の中に隠し、理由を付けて店に預からせる。店仕舞いの刻限になれば、そのまま店の外に置いてはおけまいと店内に運び入れる。皆が寝静まった頃に芋俵から出た与太郎が鍵を開けてふたりを手引きをする―というもの。
芋俵を店内に運び込ませるところまでは思惑通りだったのですが、芋俵が上下逆さまに置かれてしまいます。しかも、夜になると腹を空かせた大店の丁稚と女中が芋を盗みにやってきます。俵に手を突っ込んだ丁稚の握った「生温かい」ものとは?

―さつまいもは江戸時代の初期に大陸から渡来したとされ、お米の凶作などをきっかけに瞬く間に日本中に普及し栽培されるようになります。寛政年間(1789〜)には江戸の町で焼き芋が登場(それまでは蒸して食べるのが主流でした)、主要産地であった川越(現埼玉県)に掛けた「九里(栗)より(四里)美味い十三里」の宣伝コピーも生まれました。甘みが強くホッコリとした食感で女性や子供たちに評判を呼び、今も季節の風物詩として広く親しまれています。  



 

[旬の噺]は、季節の草花や農作物が登場する噺(=落語)の世界を紹介するコーナーです。