「秋茄子は嫁に食わすな」とはよくきくことわざです。「茄子の花と、親の意見は千にひとつも仇が無い」…これは、茄子の花は必ず実になるので、ひとつも無駄になる花はありません。同じように親が我が子にする「意見」にも無駄なものなど、ひとつも無いのだ、という意味。……身に滲みます。
味噌を作るときに加えた「塩」は、やがて馴染んで見分けられなくなるが、その味を調えるために役に立っている。転じて、他人のために手助けしたことは、その場では無駄なことのように思われるが、後になってみると結局は自分のためになっているものた、という意。「情けは人の為ならず」とも。味噌に関しては、ほかに「味噌買う家は蔵建たぬ」という「手前味噌」作りを奨励するような意味のことわざもあります。
梅干しには「食品の毒」 「血の毒」 「水の毒」の三つの毒を消す作用があるといわれてきました。殺菌作用、疲労回復、夏バテ防止・・・まさに「薬」。民間療法の優等生という感じです。「梅はその日の難のがれ」…朝、梅干しを食べれば一日何事もなく過ごせるという意。もうこうなると万能薬扱いというより「おまじない」に近いかも。そういえば昔、コメカミに梅干を貼り付けているお婆さんがいましたよね。「頭痛がする」とか、云いながら。
白米の飯を貰うことは有り難いけれど、なによりもそれをくれた人の心がうれしいという意味。同じく「搗いた餅より心持ち」とも。他人(ひと)から、ものを頂戴する時に、どうしてこの品物を選ばれたのであろうか?何日位前から準備をされていたのだろうか?何方かに相談をされたのかしら?と考えると、その方の苦労が思い遣られ自然に頭が垂れる気持ちになります。どれほどこちらを想い、気遣って下さっているか。与える側も、受け取る側も共に幸福になるような思し召し。喜捨を受けた托鉢僧が唱えるお題目も、つまりはそういう意味なのでしょう。様々なボランティア活動の難しさもそこにあります。
おでんの美味しい季節、定番ネタのひとつがこんにゃくです。成分の97%が水分でダイエット食材としてもよく知られていますね。栄養価は低いのですが、人の体の消化酵素では分解できないグルコマンナンという食物繊維を含み、腸内の老廃物の排泄を促す効果があります。
昔の人はその事を良く知っていたのですね。「胃腸のほうき」とも呼ぶそうです。こんにゃくといえば江戸時代には女性が好きなものを並べた「芝居蒟蒻芋南瓜(しばい・こんにゃく・いも・かぼちゃ」という流行り言葉があったそうです。昭和の子供の大好物「巨人大鵬卵焼き」と同じように、語呂や言葉の調子を楽しんだものなのでしょう。