第16回

りんごの花 風っこ号

 [花鉄の部屋]第16回は、りんご畑の中を走るトロッコ風臨時列車です。

タイトル= りんごの花 風っこ号
撮影者=普津澤智穂子
撮影地=青森県南津軽郡
 みちのくの山たゝなはる花林檎(山口青邨)──桜花に続き北国の春を彩るのがりんごの花です。その満開時(毎年大型連休後の週末)に走る五能線の臨時列車が「りんごの花 風っこ号」です。
 五能線はJR秋田支社の路線で、秋田県・東能代駅から青森県・川部駅までの全長147.2kmを走るローカル線です。
 車窓から望む日本海、白神山地、岩木山の素晴らしさは全国的にも有名です。四季折々変化に富んだ景色…春は日本一のりんご王国・津軽平野に咲く白いりんごの花を愛でながら、鉄道の旅を楽しむことが出来ます。
 「りんごの花 風っこ号」はイベント開催日の1日1往復、五能線の一部区間の弘前駅〜五所川原駅間のみの運行。川部駅〜板柳駅間のりんご畑では速度を落として運転、りんごのお花見と北国の春をゆっくりと眺めることができます。
 昨年は開花が遅れ車窓からのお花見は叶わなかったとのこと、今号の画像は一昨年の5月に撮影された貴重な「花鉄」です。車両はキハ48形「びゅうコースター風っこ」を使用した2両編成、全席指定になっています。  発着駅ではゆるキャラや伝統演芸など観光イベントが催され、車内では観光アテンダントによるおもてなしや、記念乗車証などのお土産が付きます。
 撮影者の普津澤さんは秋田県大館市内で『Bull』というスナックを営む評判の美人ママさん。ガーデニングなど多くの趣味のひとつが鉄道写真だそうです。カメラ歴は「北東北の自然の美しさを届けたい」とブログを始めた5年前から。2009年に廃線となった『小坂鉄道保存会』の役員としてもご活躍中です。
 澄みきった青空、遠くに雪を冠した岩木山、線路沿いにはタンポポ、そしてりんごの花…「津軽の空気感が伝わるように」と願って構えたファインダーの中を走り抜けた臨時列車は「爽やかな緑の風のようだった」とお話しして下さいました。普津澤さんのブログ『SummerSnow』http://chihoko777.exblog.jp/)では、「花鉄」の他、地元愛溢れる彼女のアクティブな生活ぶりを垣間見ることが出来ます。
車窓からは素敵なりんごのお花見ですが、りんご畑では、摘花(てきか)に忙しい季節です。摘花は養分の詰まった実を育てるために中心花だけ残して周りの花を摘む作業。開花からの数日間、りんご農家の皆さんは終日作業に追われます。
flower with railway vol.16