[花鉄の部屋]第2回は、風に揺れる蕎麦の
花畑と、全長195.7kmを誇る長〜いローカ
ル線・飯田線とのツーショットです。

タイトル=蕎麦畑と飯田線
撮影者=kubo1205
撮影地=長野県上伊那郡飯島町

撮影者によると、絶好の撮影日和にお住ま
いの駒ヶ根市から車で15分ほど走り、地図
を片手に撮影場所を探していて出会った偶
然の風景だったそうです。花との感動の出
会いは、意外と身近なところにあるのかも
知れませんね。
様々な苦労の末に直結された私鉄4社(豊川
鉄道・鳳来寺鉄道・三信鉄道・伊那電気鉄道)
を軍事上の目的で国が買収して国鉄飯田線
を誕生させたのは1943年(昭和18年)、戦時
中のことでした。
愛知県豊橋市の豊橋駅から長野県上伊那郡の辰野駅を結ぶ飯田線は、94駅ある各駅間が市街地路線並に短いのが特徴、各駅停車で全線6時間(!)という列車もあります。並行する天竜川、中央アルプスと南アルプスを望む車窓からの眺めに、多くの鉄道ファンが魅了されてきました。高度成長期には様々な優等列車が走り興隆を極めましたが、中央高速開通により、利用客が激減してしまいました。
今号の写真に写っている電車は、従来から飯田線を走るJR東海の313系の新鋭1700番台の普通車両ではないかと思われます。三両編成・寒冷地仕様・発電ブレーキを搭載、軽量ステンレス車体にJR東海のコーポレートカラーであるオレンジラインが巻かれています。
長野県の南に位置する撮影地・飯島町はふたつのアルプスを望む町。清らかで豊かな水の流れによって稲作が盛んなことはもちろん、果樹や麦、良質な蕎麦の産地となっています。約57haで2種類の蕎麦を育てる同町の農業法人「本郷農業サービス」(加盟95戸)は、抜群の収穫量と蕎麦打ち体験などによる地域活性化への取り組みが評価され、今年の春に全国そば優良生産表彰(日本蕎麦協会主催)集団の部で最高賞の農林水産大臣賞を受賞されました。11月には「秋そば祭り」が開催されます。
 

[花鉄(はなてつ)]とは=細分化されている鉄道ファンは、乗ることが好きな「乗り鉄」「旅鉄」、撮影専門の「撮り鉄」、その発車ベルや走行音のファンを「録り鉄」、駅弁を食べ歩く「食べ鉄」、女性の鉄道ファンを「鉄子」などと呼ぶことがあるそうです。そこで、私たちは各地で出会える「花」と「鉄道」が共生する素敵な風景を、勝手に「花鉄」と名付けて愛し続けることにしました。

  flower with railway vol.2